ボランティアは、生き方の用語なのだと思う。自らの意志で自ら生きる姿勢の呼び名だと思うのだ。そしてボランティアには深さと広がりの違いもある。そのボランティアは本当に人々のためになっているのかどうか。それが実現しないなら、そのボランティア活動はしないほうが人々のためになる。また、一方で正しいボランティア活動が、他の活動の妨げになっていないかどうか。全体で考えないと、「援助」しているつもりが人々を貧しくする。それらを考えてほしくて書いた本だ。
幸い、とても面白かったという感想が届いている。ぼくにとっては普段の講演会のように論理的で、バリバリデータ、という本ではないので、執筆が登山のような苦労に満ちたものではなかった。なんだか申し訳ない気持ちがするのだが…。
たとえば夏休みの宿題や、課外のボランティア活動で「ごみ拾い」が「地球環境問題の解決策」として語られる。それは違うのだ。環境問題は、人類が生き続けられるかどうかの問題だ。世界中で異常気象が起きて、我々は存続できなくなるのではないかという危機の話なのだ。家の周囲が散らかって不愉快な状態だったとしても、生命の危機ではない。一方周囲はきれいなままでも、人類を滅ぼすものがある。放射能、農薬、化学物質なら、風景はきれいなまま、食べ物の味も変わらないのにじわじわ命を奪っていくことになる。こっちが問題にされず、人々の不安をガス抜きするために「汗をかいてがんばったんだと納得する空き缶拾い」が『環境問題の解決策』として利用されてしまう。身のまわりをきれいにしても、命の危険は去らないのだ。
空き缶リサイクルは、確かに資源を少量で再生させるから環境問題に寄与している。しかし問題なのは、もっと簡単な解決策があることだ。空き缶を店に戻すとおカネが払い戻される「デポジット」を導入すればいい。すべての空き缶に、たった10円でいいからデポジットをつければ、その日のうちに道路の空き缶は探しても見つからないようになるだろう。
「空き缶はくずかごへ」という標語は飲料メーカーが作った。デポジットをしたくなかったから、くずかごに入れるよう仕向けたのだ。くずかごに入れれば自治体が処理しなければならなくなる。本当は飲料メーカーが集めてつぶして再利用する費用を負担すべきだったのに、くずかごに入れさせてあとは税金まかせにした。それが空き缶が町中に落ちている原因なのだ。
これでは空き缶拾いは飲料メーカーへのボランティア活動だ。踊らされないため、自ら自分の生き方を作っていくための一冊として書いた。ぜひ一度読んでみてほしい。
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14歳の世渡り術シリーズ
「幸せを届けるボランティア不幸を招くボランティア」
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何となく「いいこと」だとは思うけれど、「実際のトコロどうなの?」という気持ちもぬぐえないボランティア。その現状と仕組みを知っておかないと、私たちの善意やおカネがムダになったり、誰かを不幸にしたりする!夏休みを利用して、ボランティア活動に参加してみようと思っていた人も、街に溢れる「いいこと」そうな活動に疑問を感じていた人も、必読の一冊です!○街頭募金したおカネは、全額寄付されているわけではないって知ってた?
○空き缶拾いってよく言うけれど、そもそも缶飲料を大量に作りっ放しにしている企業側の問題なんじゃないの?
○「途上国に古着を寄付」ってよく聞くけれど、ケースによっては現地支援になるどころか、発展の妨げになっている!?
○ボランティアする側に生まれる「高揚感」と、ボランティアを受ける側に生まれる「依存心」が問題?
○無責任なボランティア至上主義増加中?
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